鎌倉国宝館見学記4

 今年は大正十二年(1923)九月一日の関東大震災から100年ということで東京都、神奈川県を中心に多くの展示が開かれている。近代は私の専門外であるが、鎌倉に縁のある展示なので記すことにした。タイトルは『2つの関東大震災と鎌倉』、サブタイトルは「大正地震100年・元禄地震320年」である。時節柄、前者の方が主となる。被災した多くの文化財が市内に設けられた修理所で修理された。その代表例として北条時頼坐像、仏頭、弁財天坐像、夢想礎石像などが並んでいる。鎌倉震災絵巻(昭和2年)、大震災写生図、古写真からは当時の状況が分かる。昭和3年(1928)の国宝館建設の契機になった災害であり、この館にしか出来ない企画であった。元禄十六年十一月二十三日に起きた後者では油井浜間数之覚、光明寺境内絵図などで地震の様相を伝えている。刊行物は図録と展示リストがある。なお、2021年開催の国宝館建設維持に尽力した『間島弟彦と黎明期の鎌倉国宝館』の図録も参考になる。

2023年7月22日から9月10日まで開催

2023年8月19日見学

2023年8月27日記