刈谷市歴史博物館見学記5

 友人と雨の中、愛知県内を回った。最初は刈谷市である。タイトルは『木札の世界』、サブタイトルは「気に書かれた歴史」である文字が書かれた木を対象にしている。総計62件である。第1章は土中に残った木札であり、出土した習書木簡や墨書木札などが出ている。第2章の様々な木札がメインの展示となる。1節は棟札であり、地元の野田八幡宮や東浦町の村木神社などの棟札が並んでいる。通常、室内に置かれており保存状態は概して良い。2節は制札、高札である。制札(禁制)は紙のものを多く目にするが実際は木の制札を掲げていたので、本来はこちらの方が主体である。羽柴秀吉制札は木と紙の両方が出ており参考になる。木の制札は消耗品が多く、残っているのは貴重である。高札というと江戸時代、明治時代の高札場を思い浮かべるが、今回は大久保長安高札、京都町奉行高札などの変わったものも展示していた。3節は信仰に関するものでこけら経、絵塔婆などが出ている。4節は生業で使われる木札であり、鑑札、荷札の類である。

 紙の古文書等は多くの博物館等で見ることが出来るが、木札の展示は少ない。今回のように木札をテーマに木札だらけの展示は初めて見学した。一点一点は地味でもこのようにまとまれば見応えのある展示になるという良い例であろう。この文を書いていて思いついたのは大名等の宿札である。まだまだ違った種類の木札があるので、続きの企画展もぜひ開催して欲しい。刊行物は図録と展示作品リスト、展示資料翻刻がある。

2025年4月26日から6月8日まで開催

2025年5月31日見学

2025年6月6日記