安城市歴史博物館見学記5

 静岡県から愛知県に入る。岡崎市、西尾市を経て安城市に向かった。タイトルは『家康と一向一揆』である。この館では過去にも三河一向一揆の展示をしているが、今回はやはり家康絡みである。市内に三河三か寺の一つである本證寺を抱えている安城市ならではの企画である。パネルを含めて計123件を数え、古文書が多くを占める。第1章はずばり三河一向一揆であり、一揆の発生、経過を取り上げている。長い戦闘と思われがちであるが、永禄七年(1564)一月から三月までの短期間であった(但し、永禄六年六月から七年九月まで関連した事柄があった)。本證寺歴代連坐像、土井城絵図、德川二十神将図などが出ている。第2章は一揆退去と赦免である。永禄七年以降天正十三年(1585)までが主である。三河を退去した坊主衆の一部は長島一向一揆、石山合戦にもかかわったと言われる。十字名号旗、妙治尼絵像、本證寺境内図などが並んでいる。

 第3章は東西分派である。このあたりが新しい見所である。一揆の結果として本願寺が東西に分かれて、現在に至っている。分派時、西三河は東本願寺の勢力が強かった。教如書状、親鸞絵像などが出ている。東北、関東、九州からも幅広く史資料を集めており、家康関連の展示では大規模のものの一つであった。この館では別のテーマでも家康を取り上げる予定なので、年内に再訪するかもしれない。刊行物は図録が発行されている。

2023年2月4日から3月19日まで開催

2023年2月23日見学

2023年3月5日記