水戸市立博物館見学記

 久しぶりに水戸市へ行ったが、雨が降り続いていたのでこの博物館のピンポイントであった。タイトルは『徳川頼房』、サブタイトルは「初代水戸藩主の軌跡」であり、水戸東照宮創建400年記念と銘打っている。徳川光圀や斉昭に比べて今一つ知名度が低い徳川頼房が主人公である。まず、父である家康および誕生の地伏見城と水戸に行く前の地駿府城の紹介である。両城の出土遺物や家康の胴丸具足、同じく書状などが並んでいる。一週間前にも甲府市で見た伏見城の金箔瓦も出ていた。次に水戸へ入部した頃のコーナーになる。水戸城にも石垣を使う計画があったことが文書、丁場絵図などから推測される。初めて知り参考になった。城下の十六世紀から十七世紀の武家屋敷址からの出土遺物もある(釜神町遺跡)。なぜか水戸城址中心部からの遺物の展示は無かった。次に家臣団の紹介である。付家老中山備前守家、家老鈴木家、家臣額田小野崎家などを取り上げている。中山家の中山信吉書状、水戸城北三の丸内にあった屋敷出土の家紋入り軒丸瓦、鈴木家今川義元朱印状、井伊直政黒印状などが出ている。特に小野崎家に関する伊達政宗や佐竹義重の文書5通はここで見れて良かった。そのあとのコーナーは将軍、兄弟、家族のことに触れている。頼房は子だくさんであり、二代藩主光圀、高松藩主松平頼重などがいる。4階の展示室すべてを使っているが、3階の常設展示室内にも一部展示している。頼房と関係が深い水戸東照宮のコーナーとしてい

る。銅製釣燈籠、三十六歌仙扁額、水戸御祭礼図などが並んでいる。水戸藩初代徳川頼房の一生を多方面から取り上げた好企画であった。刊行物には図録がある。

 博物館は中央図書館と同じ建物にあり、民俗、歴史、自然、美術からなる総合的な博物館である。2階の常設展示室は現在、渋沢栄一と水戸藩、戦時体制下の水戸の2テーマを期間限定で展示しており、いわゆる水戸市の通史は見られない。JR常磐線水戸駅から歩いても行けるがバス便もある。この館は水戸城址、弘道館へは徒歩10分、偕楽園へは徒歩20分というやや中途半端な位置にある。東照宮は駅に戻る途中にある。

2021年10月16日から11月21日まで開催

2021年10月17日見学

2021年10月23日記