新宿歴史博物館見学記2

 コロナが一休みの間に展示会シーズンが始まった。途中で中止、延期がないこと祈っている。この館は毎年のごとく行っているが、見学記は二回目である。タイトルは『四谷塩町からみる江戸のまち』、サブタイトルは「近世考古学の世界」である。JR四ツ谷駅前の総面積一万五千坪を超えるまれにみる大規模再開発の発掘調査の成果が主となる。町屋である四谷塩町一丁目をまるごと発掘した。東側は江戸城外堀に沿っており四谷塩町と外堀をパネルで紹介した後、出土遺物の展示となる。ここでは主にくらしの道具である日常品のやきもの、調理具、暖房具等がずらりと並んでいる。続いてまちの記憶として古文書、史料の展示である。四谷伝馬町・四谷塩町沽券絵図、四谷塩町一丁目人別書上控、町屋敷坪数書入図面控など豊富に残っているにはまれであり貴重である。次に麹室、地下室、土蔵跡等をパネルで解説している。四谷塩町一丁目の人々のコーナーでは前記の展示をふまえて各戸の紹介がある。町医、両替・質渡世、道具屋、塗師、鍛冶・鋳物・金工など一戸一戸を間取りまで詳しく分析、復元しているのはすごい。工人に関する出土品も多数並べられている。色絵染付菊に鶉文中皿10枚などの高級品も少なからず出土している。往還を含む一つの町屋の全体像が分かり、久しぶりにまとまった江戸遺跡の展示会であった。館から遺跡までは徒歩で10分とかからないが、今ではその中心に超高層のビルが建っている。刊行物は図録と出品一覧がある。図録は展示をより詳しく解説しており、論考4本も載っているので参考になる。

2021年9月25日から12月5日まで開催

2021年10月4日見学

2021年10月12日記