以前、芝にあった港郷土資料館が2018年に白金台に移転した。コロナの影響で休館が続いたが、会期延長ということで何とか見ることが出来た。タイトルは『江戸の武家屋敷』、サブタイトルは「政治・生活・文化の舞台」である。ここでいう武家屋敷は大名屋敷と旗本屋敷のことであり、港区域は江戸城に近い関係で多くの武家屋敷があった。代表例として仙台藩伊達家上屋敷を取り上げている。汐留上屋敷表門模型がまず先に目に入る。いくつかの絵図や瓦(鬼瓦、飾り瓦など)が展示されている。江戸詰家臣の文書もあり、暮らしぶりも分かる。八戸藩南部家、米沢藩上杉家と続いて熊本藩細川家中屋敷の展示となる。出土した瓦、陶器の他に御用達商人の宇田川家に注目している。明治まで行き来があった。次に屋敷内に置かれた神社であり、金刀比羅宮(丸亀藩京極家上屋敷)、水天宮(久留米藩有馬家上屋敷)を主に浮世絵で紹介している。諸藩の古写真も何枚かあるが、良く知られたものが多かった。次に幕末維新期の事例として飯野藩保科家を取り上げている。十代藩主保科正益がメインであり、陣笠、裃などを展示している。保科系図などの他に明治期の史資料もある。また、旗本屋敷の中から久保家、大谷木家を紹介している。前者は久保家系図、先祖書などが並んでいる。後者は五方相対替の屋敷交換が主である。刊行物は図録と出品目録がある。
歴史館は1938年に建てられた旧公衆衛生院の建物を利用している。ゆかしの杜と通称し、港区のいくつかの施設も入っている。内部の各部屋、階段は従来のまま残している。旧院長室、旧講堂などを見ることが出来る。歴史館としては区の通史を紹介する常設展示室と特別展示室があるが、間取りは元のままであるのでいくつかの部屋に分かれている。やや見づらい感じもするが仕方ないであろう。ミュージアムショップやカフェもある。交通は東京メトロ南北線白金台駅からすぐである。
2021年4月24日から7月18日まで開催
2021年6月9日見学
2021年6月17日記