石神井公園ふるさと文化館見学記2

 23区内で城郭の展示は珍しい。タイトルはずばり『石神井城』、サブタイトルは「中世豊島氏ここにあり」である。都の史跡に指定されており、歴史、遺構ともよく知られている。発掘も1956~58、1967、1998~2002年と多く行われている。今回はその出土遺物が大半を占める。15世紀後半から16世紀前半と豊島氏が活躍した時期に該当する。小刀、寛永通宝、白磁皿など30種であり、明治以降のコーラ缶、どんぶり碗など5点もある。これらも立派な考古資料であろう。隣接した石神井台一丁目遺跡のものも8点で出ているが、16世紀以降であり、直接城とは関係ないようである。遺物の前のコーナーでは古文書、文献が5点出ているが、全て複製である。また、終りの方では簡単に地誌類、伝説を紹介している。中で池中探索器の略図は初めて見た。どちらかというと遺物展であった。サブタイトルの豊島氏に関する展示はいずれ期待したい。刊行物は出品資料リストのみである。永年にわたる発掘調査の報告書が刊行されていないのは残念である。

2021年4月3日から5月30日まで開催

2021年4月7日見学

2021年4月12日記