コロナで見学があやぶまれていたが、なんとか見ることが出来た。タイトルは『武田信玄の生涯』であり、生誕500年、開館15周年を記念しての展示である。本来なら郷土の英雄を祝って全県あげて多くのイベントが行われるはずであった。展示替えを含めて総数150を数える大規模な展示である。県内のみならず、全国から代表的なものを集めている。誕生から死去までほぼ年代順に紹介している。。序章の信玄のすがたでは見慣れた法師武者姿の像や近年注目されだした甲冑姿の像などと武田二十四将図が並べられている。誕生のコーナーでは父の武田信虎像、判物、祖父の武田信縄制札、武田晴信願文などが出ている。次の初めての敗戦である上田原合戦のコーナーでは村上義清書状、武田晴信自筆書状などが見られる。そして川中島の戦いでは川中島合戦図屏風、孫子の旗を中心に武田方、上杉方の古文書が多く出品されている。次からは領土拡張で敵対した大名や同盟した大名の登場である。多くの北条氏、今川氏、徳川氏等の古文書の他に北条氏康画像、東照大権現そして六十二間筋兜、黄八幡の旗などが出ている。元亀四年(1573)7月3日の武田信玄書状は死後出されたものであり、その死を隠していたことが分かる。終章では江戸時代以降信玄がどのように顕彰され続けたかが甲陽軍鑑、浮世絵そして武田信玄贈位位記などで分かる。そして現在の信玄公祭りに続いている。
絵画、肖像画、武具、仏像など多種にわたって信玄の事績を紹介していた。半分ぐらいが古文書であったが、釈文が無かったのは惜しい。規模の大きな展示であり、見応えがあった。ただ、今回は信玄が主役であって、他の一族については簡単に流している。別の機会に取り上げて欲しい。刊行物は図録と展示資料一覧がある。図録には古文書の釈文も載っている。概説書を兼ねたような内容であり、一般書店でも購入出来る。
2021年3月13日から5月10日まで開催
2021年3月28日見学
2021年4月5日記