荒川ふるさと文化館見学記2

 太田道灌と武蔵は関係が深いが、その中でも荒川区は史跡、伝承が多いということで『あらかわと太田道灌』が開かれた。最初はよく見る長禄年中江戸図や梅花無尽蔵などの展示である。太田道灌書状、軍配団扇も出ている。この時期の板碑は現存しないものを含めて区内には5基あった。次に有名な山吹伝説を取り上げている。関東各地にあるが、例によって近世に作られた伝承でありどこが本家という訳ではない。荒川区にも三河島や町屋などに見られる。続いて道灌山である(別人の説もあり)。武州新堀古城之図や新堀村図に描かれている。初めて見る資料で参考になる。村図には道観山二ヶ所、殿山の地名が載っている。勿論、現在は跡形もないが、あってもおかしくない地形である。また、本行寺には十七世紀に建てられた道灌丘碑があり、出城(物見塚)があったと言われる。ちなみに寺は掛川藩太田家の江戸における菩提寺の一つであった。エピローグとして各地にみえる道灌の足跡と全国太田道灌ゆかりの地のパネルがある。関連する地は南関東に多いが、北は福島県、南は佐賀県にまで及んでいる。生まれた地であり亡くなった地でもある相模よりも、活躍の主舞台であった現在の東京都、埼玉県の武蔵に数多く足跡が残っている。銅像は約10体あり、山吹伝説をうけた鷹狩り装束姿がほとんどである。刊行物は図録がある。巻末に史料の翻刻編も載っている。なお、荒川区では秋に日暮里道灌まつりが開かれており、機会があれば行ってみたいと思っている。

2019年11月2日から12月1日まで開催

2019年11月12日見学

2019年11月20日記