今回のタイトルは『中世寺院と品川』、サブタイトルは「妙国寺の歴史と寺宝」である。総数113種であり、顕本法華宗妙国寺(現天妙国寺)蔵にものが半分ぐらいを占める。プロローグとして江戸時代前期に制作された妙国寺絵図の紹介がある。約150cmの大きな社寺参詣曼荼羅である。二つに分かれた展示室のうちメインの第1会場に入ると開山の天目坐像と顕本法華宗の祖である日什坐像が正面に置かれている。次に中世品川に関する重要史料の帆別銭納帳、梅花無尽蔵の他に妙国寺文書も多く出ている。戦国期に入ると北条氏綱制札、武田氏制札、大田資正制札など計10点に制札が目立つ。後北条氏の文書も出ている。一つの寺に多数の武家文書が残されているのは大変貴重である。また、塔頭址である妙国寺北遺跡からは中世の遺物が数多く出土している。近世に入ると徳川将軍家の信仰が厚く、三代将軍家光は44回も御成している。将軍に拝謁する年頭御礼でも惣独礼が許された。また、日蓮宗の妙満寺派の触頭であり、本山妙満寺へ入山した住職も数名いた。第2会場はよみがえる文化財をテーマにして天妙国寺蔵の宝塔絵曼荼羅、妙国寺文書の修復の過程にふれている。以上見てきて内容的にはサブタイトルを主にしたほうがよいと思った。刊行物は図録と展示資料一覧がある。ただ、図録の番号とキャプションの番号が違うのは分かりにくい。
2019年10月6日から12月1日まで開催
2019年11月6日見学
2019年11月15日記