この館は何回か行っているが、見学記は初めてである。タイトルは『勝家昔日譚』、サブタイトルは「海舟へと至る、悠久の歴史」である。館は文字通り勝海舟の一生を紹介している。今回は常設展示で触れられていない海舟の先祖の話である。全13件とこじんまりとした展示である。伝承では物部姓を名乗っている。のちに近江坂田郡勝村(長浜市)へ土着し勝氏を苗字とした。その後三河幡豆郡鎌村(西尾市)に移り、十六世紀半ばに徳川氏に臣従した。展示中の唯一の図が海舟旧蔵の関ケ原陣対戦細図であり、三河武士の証明ともいうべき品である。家康の関東入部に従ったのち、江戸時代を通じて旗本であった。その7代が海舟の父の惟寅である。海舟が近江勝村について調査した書状もある。他に物部姓 家系、系譜、御用留などが出ている。小規模だが今までになかったテーマであった。刊行物は出陳目録のみである。
記念館は昭和8年(1933)に開館した図書館兼講堂の旧清明文庫の建物を活用している。2000年に国登録有形文化財になっている。館のオープンは2019年である。二階建てで1階は常設展示室として海舟の生涯を紹介している。2階は旧貴賓室を保存し、旧講堂も展示室としている。東京都名勝の洗足池のすぐ近くに位置している。周囲には勝海舟夫妻墓所、南洲留魂詩碑、別荘洗足軒址(現存せず)などがあり、散策に適している。東急電鉄池上線洗足池駅から徒歩6分と近い。
2024年11月15日から2025年3月9日まで開催
2025年1月8日見学
2025年1月14日記