タイトルは『城ってなんだ』なので見るしかない展示である。城郭調査の方法に焦点を当てた一風変わった企画展である。第1章は城を構えるである。最初に中世前期の城では吾妻鏡、大久保山遺跡出土遺物など、次の戦国時代の城では築城記、青鳥城跡出土かわらけ、忍城跡出土かわらけなどが出ている。ここまでは普通の展示である。第2章は城を調べるである。江戸時代の城郭研究では軍学や地誌に表れた城を取り上げている。近世に入ると中世城郭への関心が高まってくる。築城規範、城制図解上、遊歴雑記などが出ており、初めて見る史料も多かった。次の近現代の城郭研究では明治から現代までの史資料が並んでいる。1988年県教育委員会発行の埼玉の中世城館跡は全国の悉皆調査では初期のもので貴重な成果であるが、誤りが多いのが難点である。第3章は城を掘るである。発掘された城では比企郡を中心に菅谷館跡、杉山城跡、小倉城跡、松山城跡そして鉢形城跡、騎西城跡の出土遺物が多数展示されている。縄張図も出ている。最後の小規模な城郭では越畑城跡、古寺砦跡の狼煙場に関連した炭化物が出ている。近世以降現代までの城郭調査にも目配りした点でユニークな展示であった。刊行物は図録、展示資料一覧、展示資料翻刻がある。ロビーでは『空から見た中世城館』も開かれている。
2025年1月11日から3月2日まで開催
2025年2月8日見学
2025年2月19日記