神奈川県立歴史博物館見学記

 この館には随分行っている割には見学記は初めてである。タイトルは『北からの開国』、サブタイトルは「海がまもり、海がつないだ日本」である。ペリー来航による外圧は知られているが、それより60年前にもロシアからの通商要求があったことはあまり語られない。最初にその頃の漂流民の大黒屋光太夫やロシア人のラクスマン、プチャーチン、レザーノフなどの関連史資料が並ぶ。次は鷹見泉石、近藤重蔵に関する資料の紹介である。ともに一括して重要文化財に指定されており、今回はまとまって出ているのがうれしい。次の伊豆、相模など江戸に近い地域の海防のコーナーが見所の一つである。特に松代藩真田家の相房総台場略図、そして福山藩阿部家の近海見分之図である。後者は砲台を含めた110図の海防巡見の記録である。また、彦根藩井伊家のいくつかの御台場絵図も貴重である。このように台場、砲台の図をまとめて見られたのは大変良かった。大黒屋光太夫記念館、古河歴史博物館、真田宝物館、江川文庫、、彦根城博物館など各地からの出展があり、県立博物館らしい規模の展示であった。刊行物は図録と展示資料目録がある。

 博物館は重要文化財である旧横浜正金銀行本店を改修している。常設展示室は旧石器から現代までの通史で充実している。ミュージアムショップ、喫茶も館内にある。みなとみらい線馬車道駅からすぐである。JR根岸線桜木町駅、関内駅からも徒歩8分で着く、近くには中華街やみなとみらいなどもあり、時間があれば足をのばすのもよいであろう。   

2019年7月13日から9月1日まで開催

2019年8月12日見学

2019年8月22日記