三井記念美術館に続いて鎌倉ネタだが、鎌倉といっても『下野の鎌倉街道』でありサブタイトルは「道を交う人と物」とある。源頼朝像から展示は始まる。第1章は鎌倉街道以前の古代の幹線道路であり、下野国分寺跡、長者ケ平官衙遺跡などからの遺物が出ている。飛山城址出土の烽家と書かれた墨書土器もしっかり展示している。第2章から鎌倉街道、特に奥大道を取り上げている。まず最初に鎌倉出土の遺物がずらっと出ている。次に白河(芳野遺跡)、安積(荒井猫田遺跡)そして平泉の順で多くの遺物が展示されている。荒井猫田遺跡の資料がまとまって見れたのは良かった。第3章は地元の下野の奥大道であり、小山(金山遺跡、祇園城跡)、薬師寺(下古館遺跡)、宇都宮(宇都宮城跡)などからの遺物が並んでいる。小山、野木周辺には多くの遺跡があり、交通の結節点としての重要性が良く分かった。その他の下野におけるルートとして宇都宮大道(薬師寺城跡)などを取り上げている。ここまで多くが出土遺物で占められており、所々に絵図、文献が置かれている。その他のものは数少なく上杉謙信像、北条氏政書状、宇都宮氏軍旗があるぐらいである。
これから足利、日光、会津道をテーマとする部屋に入ると急に遺物は減って代わりに絵図、文献が多くなり、ゆったりとした配置になる。たくさんの遺物を見て疲れたから一休みするようにという感じか。最後の方に豊臣秀吉像、徳川家康像が出ている。さすが県立だけあって見応えがあった。また、多くの遺物を並べるため部屋を区切るなどレイアウトに工夫があった。遺物の量に圧倒されたが、後から考えると鎌倉街道の構造の解説などが抜けていたのは惜しかった。刊行物は図録と出品目録がある。
2019年4月27日から6月16日まで開催
2019年6月1日見学
2019年6月11日記