埼玉県立歴史と民俗の博物館見学記3

文書は専門外なので迷ったが、うわさで中世文書が多数出ていると聞き見に行った。タイトルはずばり『古文書 大公開!』、サブタイトルは「みる・よむ・しらべる埼玉」である。埼玉県立文書館との共催になっている。壮観である。全206種のうちほとんどが文書であり、中世と近世が半々である。文書以外は甲冑、肖像画など数点しかない。安保文書は現存する58点のうち34点がまとまって展示されるのは初めてであろう。陸波羅南北過去帳も出ていた。関東の後北条氏や古河公方関連は当然として源頼朝、長宗我部元親、伊達政宗、足利尊氏ほか書ききれないぐらいメジャーな武将の文書が並んでいる。

近世では幕末まで目配りしているが、武家文書が目立った。岩槻藩主阿部家、岡部藩主安部家、旗本稲生家などである。朱印状類の寺社文書も甘棠院、明星院を初め多数出ている。一度のこれだけの文書を見られるのはまたとない機会であるが、二度三度に分けてもう少しテーマを絞ってもよかったと思う。満腹感はあるが、一つ一つの印象が薄くなるような感じがした。刊行物は12ページのリーフレット、展示資料一覧、翻刻集(主なもののみ)が出ている。図録が欲しかったが、全ての文書を載せるとなるとかなりのページ数になるので大変な作業であろう。個人的には高くもなく安くもなく、厚くもなく薄くもない程度の図録があればよいと思った。

<h3>2018年7月14日から9月2日まで開催</h3>

見学日
2018年8月29日
2018年9月10日