鎌倉市内では初めての見学記である。本来なら11月8日に見た鎌倉国宝館の『鎌倉公方足利基氏』を最初に書くつもりであったが、図録が未刊(12月刊行予定)のためにまずこちらからにした。タイトルは『甦る永福寺』であり、サブタイトルに「史跡永福寺跡整備記念」とあるように整備が一段落したことのまとめの展示である。永福寺は建久三年(1192)に源頼朝が建立した寺であるが、十五世紀初めに炎上してのち再建されずに終わった。1981年以降発掘が行われ、2007年からは整備が開始された。現在は建物の基壇や池の復元を見ることが出来る。今回の展示では77種91点の史資料が並べられており、ほとんどが出土遺物である。平泉の中尊寺、毛越寺を模しただけあって荘厳具をはじめ優品が多い。永福寺址の遺物がこれだけまとまって展示されたには今回が最初であろう。刊行物は図録と出品リストがある。
交流館は今年の5月15日にオープンしたばかりである。鎌倉市の歴史系の施設としては鎌倉国宝館以来である。13世紀から15世紀に存続した無量寺があった無量寺谷の一画にある。既存の邸宅を最大限利用しているので、部屋の規模=展示室に制約があるのは仕方ない。却って内部構造を楽しめるのはよいことであろう。本館は常設展示室であり、三つの部屋からなる。永福寺址以外の市内の遺跡から出土した遺物はこちらのほうに展示している。別館には考古学関係の展示室があるが、今回の企画展はこの部屋を使った。建物の周りには庭や遊歩道があり、高台からは市内の眺望が開けている。日曜日、祝日が休館なのは注意したい。JR横須賀線鎌倉駅から徒歩10分で着くが、住宅地の中にあるので迷わないように行きたい。土曜日のせいか結構混んでいた。今回は鎌倉考古学研究所の巡検に参加しての見学であり、学芸員の話を聞きつつ二時間ほど過ごした。
<h3>2017年10月19日から12月9日まで開催</h3>