日蓮宗大本山長栄山大国院本門寺の中にある。タイトルは『池上本門寺と清正公』である。清正公堂再興記念と銘打っている。江戸時代に建てられた清正堂は戦災で消滅し1952年に再建された。その堂も老朽化し、2022年に新しく建てられたのが現在の清正公堂である。その記念ということの展示である。寺と加藤清正ではなく、寺と清正公というのがこの展示のキモとなる。すなわち清正公信仰が中心となる。最初は本門寺と清正とについてであるが、大堂や石段の此経難持坂を寄進したとの説があるがはっきりしない。肥後加藤家はもとより清正の息女が紀州徳川頼宣の正室になったことで紀州家とも本門寺が深く結びついたことが墓塔や寺宝から分かる。加藤忠広書状、清正公騎馬図、長栄山絵図などが出ている。
清正公信仰は清正没後に熊本で盛んになるが、江戸では江戸時代後期になってからである。その中心が本門寺であった。清正公絵像、〃絵札、〃手形絵札などが出ている。金属供出された清正公銅像にも触れられている。都内でも清正公信仰の寺がいくつかあるが、関東における広がりも知りたかった。刊行物は図録と展示目録がある。図録には関係する墓塔の詳しいデータや関連史料の翻刻が載っている。
霊宝殿は一部屋のみであり、常設展示は行われていない。池上本門寺は日蓮入滅の地であり、大本山らしく寺域は広大で回りには旧塔頭も多く存在している。墓域も広く大名墓、旗本墓も多数見ることが出来る。江戸狩野派の菩提寺としても知られる。東急電鉄池上線池上駅から徒歩10分である。
2024年6月23日から7月28日まで開催
2024年7月13日見学
2024年7月20日記