約1年間休館していたので久しぶりである。タイトルは『鉢形城主北条氏邦』であり、展示内容はその鉢形城と北条氏邦が大きな柱となる。神奈川県は北条五代、東京都は北条氏照、そして埼玉県なら北条氏邦が戦国時代を代表する武将である。氏邦は北条氏康の子であり、武蔵の国衆である藤田氏に婿養子に入り、鉢形城主となった。展示替えを含めて計98件で構成されている。特別展示室への導入部となる季節展示室から始まる。鉢形城址の紹介とともにかわらけ、渡来銭、鉄砲玉などの出土遺物が展示されている。プロローグは北武蔵の戦国時代であり、氏邦登場以前を取り上げている。伝足利政氏所用具足、上杉憲定書状などが出ている。第一章は北条氏邦の生涯である。氏邦の出生から死亡までを北条五代を絡めて紹介している。伝藤田泰邦所用刀、伝北条氏邦所用兜などの他に文書多数が出ている。第二章は鉢形城と鉢形領であり、城と領国経営についてである。武蔵鉢形城絵図、関東五枚胴などの他に多くの文書が出ている。ただ、氏邦の幼名の乙千代時代の文書がこちらに並んでおり第一章の文書と順序がばらばらなので、氏邦関連は年代順にした方が見やすいと思った。
第三章は法養寺薬師堂であり、がらりと変わって近年修理が終わった仏像群である。特に木像十二神将立像は十二躰全てが一つの壁面に並んでいる。今回の展示の目玉といってよいであろう。修理で分かった足枘墨書のパネルもある。エピローグは北条氏邦の遺産である。近世から現代までの氏邦の伝承や鉢形城址の整備などである。概して文書が多い感があった。ただ、釈文は付けられていなかった。氏邦の肖像は無かったので見つかっていないのであろう。もう少し鉢形城そのものについて触れて欲しかった。刊行物は図録と出品目録がある。図録には文書の釈文が載っている。館内では他に『麗しき祈り展』などいくつかのテーマ展も開かれていた。
2024年3月16日から5月6日まで開催
2024年4月10日見学
2024年4月18日記