地元の資料館なので随分行っているが、見学記はやっと2回目である。タイトルは『大河原家文書』、サブタイトルは「加賀藩家臣の近世・近代」である。平成十五年(2003)に寄贈をうけ、平成十七年(2005)に区有形文化財に指定された計107点の武家文書を中心とした文化財である。大河原家は慶長六年(1601)に福井藩主結城秀康に仕えたが、その後点々として、寛永十四年(1637)前田光高から二百石を拝領したにが加賀藩士としての始まりである。のち三百五十石まで増え幕末に至る平士にランクされる中級武士である。大河原氏はその後、中野区に居住したのが縁で区に寄贈された。
計26点の展示数である。まず、前田光高知行宛行状、家督相続願控、前田重教加増宛行状などが並び平士としての活動を示している。第4代藩主前田綱紀の黒印状、知行宛行状、役料宛行状も揃っている。次に文書以外の二曲屏風、八曲屏風、脇差も出ている。また、文書に戻り、第12代藩主前田斉泰の役料宛行状が3通あり黄色の紙が特徴的である。最後に近代に入ってから石川県からの依願隠居許可状、家督相続許可状、家督再相続許可状で締めくくられている。このように十七世紀から十九世紀の一つの家の武家文書がまとまって残っているのは大変貴重である。東京都内の区立の博物館、資料館等でもそうあるものではない。中野区としてはもっと自慢していい史資料である。そして文書群の全ての活字化を願っている。なお、2004年に同館で『武家の盛儀・自家意識』を開いており、2回目の公開となる。刊行物は出展リストがある。
2022年7月12日から8月31日まで開催
2022年7月26日見学
2022年7月30日記