古文書は難しいが、タイトルが『花押と印章×サインとはんこ』ということなので興味があった。展示替えを含めて計69種である。中世近世でほぼ半分づつである。最初の花押の展開のコーナーは十二世紀から十四世紀までで関東下知状や足利尊氏御教書などが出ている。次に足利持氏、成氏など鎌倉公方の花押のコーナーを経て、県内の戦国武将を代表して北条氏邦を取り上げている。元服する前の幼名である乙千代丸発給の文書もある。続いて他の戦国武将の中から上杉景勝、小早川隆景、太田資正などを並べている。県内にも多くの戦国武将の文書が残されていることはうれしい。次からは江戸時代で、まず将軍の朱印のコーナーへ入る。主に修験道の山本坊に将軍家から発給された朱印状は三代家光のものを初めとして原文書が10通残っており貴重である。四代五代と八代以降では文言が違っているのは初めて知った。御朱印箱も綺麗である。そのあとは地方文書や武士の文書を並べて、最後は明治十七年に安部信順宛に子爵を授けた爵記で終わっている。タイトルにある花押や印章については個々の文書で触れているが、もう少し掘り下げてくれればなお良かった。テーマの主旨とは違うが、出来れば釈文も欲しかった。刊行物は14ページの無料のリーフレットが受付で配られている。
2020年12月8日から2021年2月5日まで開催
2020年12月18日見学
2020年12月25日記