清瀬市郷土博物館見学記 

 見るかどうか迷ったが、評判が良いので行ってきた。タイトルは『下宿内山遺跡』、サブタイトルは「江戸~昭和の清瀬を掘る」である。縄文時代から近世までの複合遺跡として知られているが、今回は江戸時代が中心となる。21万㎡に及ぶ発掘面積であった。十世紀には有力者の居館も作られた。会場に入っていきなり十七世紀の天目茶碗が目に入る。最初のコーナーは旗本陣屋を取り上げている。十六世紀後半から十七世紀前半にかけては太田氏が陣屋を構えていた(字陣屋にあった)。遺構の全体像が分かり、遺物も多く出ている。比較事例として伝承旗本服部氏屋敷跡遺跡(埼玉県宮代町)、島屋敷遺跡(三鷹市)、田中・寺前遺跡(狛江市)の3例を集めている。複数の旗本陣屋の展示は初めてのケースで参考になった。その後は農村の集落となり、14軒の屋敷の遺構が検出され、遺物も多数出土している。今回関連して23区内の江戸遺跡から大名屋敷、町人地の例をいくつか並べている。下宿内山遺跡の遺物はそれらと遜色ないものも多く見られる。江戸に近い農村だからなのか、それとも他の農村でも一般的にみられることなのか知りたいと思った。近代に入っても昭和40年代まで生活の場となり、屋敷、農業用水などの遺構や大量の遺物が出ている。また、防空壕4基などの戦争遺跡も検出されている。一つの壁面を使って江戸初期から昭和40年代までの陶磁器を並べているのは見応えがある。江戸時代をメインにした遺跡の、しかも23区外の展示は少ないので参考になった。また、近代にも目配りしているのも良かった。欲をいえば遺跡からは十四世紀から十六世紀の遺構遺物が出ているということで、文書に見える清戸三番との関連も知りたかった。刊行物は図録がある。

 博物館は一階に近世までの通史と近代を紹介する二つの常設展示室がある。二階に今回の展示会場であるギャラリーがある。西武鉄道池袋線清瀬駅からバス便があるが、徒歩でも10分で着く。

2020年11月21日から12月13日まで開催

2020年12月6日見学

2020年12月16日記