久しぶりの茨城県であり、歴史館である。タイトルはずばり『佐竹氏』、サブタイトルに「800年の歴史と文化」とあるように12世紀から20世紀を対象とする。河内源氏の一流である佐竹氏の発祥から秋田へ移されるまでである。歴史館では2005年の『戦国大名常陸佐竹氏』以来の佐竹氏の展示である。県立レベルとなると展示室を広く、展示数も計114種と多い。肖像画は佐竹義宣像、大場政忠像、出土遺物は瓜連地内出土板碑、山入城跡出土資料、古文書は佐竹義篤書状、佐竹義重判物、武具は黒塗紺糸威具足、瀧田伊賀守所用兜、絵図は部垂城郭全図、慶長小田城蹟図など内容も多彩である。特論として雪村(絵師)、普光(時宗僧)、産金、製塩を取り上げている。近世大名としての佐竹氏については秋田県に譲っている。また、常陸各地の支族や全国に散らばった支族に関してはこれからの研究課題であろう。関ケ原合戦を機に常陸五十四万石から秋田二十万石へと半分以下になったがなんとか大大名の地位にとどまった。茨城県内では水戸徳川家に比べて影が薄いが、この展示をきっかけに再評価がされることを期待している。刊行物は図録と作品一覧がある。図録は241ページと大部である。ギャラリーで宇佐美竹城写真展と徳川宗敬と幹子写真展が開催中であった。なお、ウイルス感染自粛にもかかわらず開館していたのはありがたかった。
歴史館は県内の通史が充実しており、別棟に一橋徳川家記念室がある。また、広い敷地内には旧水海道小学校本館、旧茂木家住宅、旧水戸農業高等学校本館も散在している。交通はJR常磐線水戸駅からバスである。偕楽園は徒歩5分と至近である。時間があれば駅に近い弘道館、水戸城址(復元大手門)へも回りたい。
2020年2月8日から3月222日まで開催
2020年2月29日見学
2020年3月8日記