栃木県立博物館見学記2

行けるかどうか分からなかったので図録は友人経由で購入していた。当館でのシンポジウムに参加した機会にようやく見ることが出来た。タイトルは『藤原秀郷』、サブタイトルは「源平と並ぶ名門武士団の成立」とある。総計136種、さすがに県立だけのことはある。大きく秀郷とその子孫の武士団に分けられる。ただ秀郷自身の実像は不明な点が多く、俵藤太伝説の方が有名である。平将門の乱での活躍は扶桑略記、将門記に書かれている。それらとその異本、絵画などが初めの方に並んでいる。次の俵藤太伝説の章ではその前段階としての日光山縁起を含めて絵巻、奈良絵本類が展示されている。日光山から近江へ舞台が移ったのは京都との関係らしい。秀郷の末裔は全国に散らばった。奥州藤原氏、紀伊佐藤氏などである。この時代を描く前九年合戦絵巻、屋島合戦図屏風などの絵画類は見応えがある。次には当館らしく下野国内の武士団を紹介している。小山氏、結城氏、長沼氏、皆川氏、佐野氏、小野寺氏などである。それぞれの家に伝わった古文書が充実している。淡路国大田文は約600cmあり、展示ケースが広い博物館しか出来ない展示である。他に良く知られた波に巻子形兜(号龍綺兜)などもある。これらの武士団の中には近世に入っても存続した家や戦国の争乱に巻き込まれて衰退した家があり様々な道を歩んだ。最後の章では武具関連の優品が多い。甲冑金具(号避来矢)や太刀無銘(伝神息、蜈蚣切)などである。関連遺跡は栃木県、茨城県、滋賀県に多いが、東京都、三重県などにも広がっている。刊行物は図録と資料一覧がある。

<h3>2018年10月27日から12月9日まで開催</h3>

見学日
2018年11月24日
2018年12月3日