小田原城天守閣見学記2

今年は小田原開府五百年、来年は北条早雲没後五百年とイベント続きである。その一つが『小田原開府五百年』の展示である。そのものズバリである。サブタイトルは「北条氏綱から続くあゆみ」であり、早雲から家督を譲られた氏綱が中心となると思いきやそうでもない。三階の常設展示室半分を使って大久保忠世、稲葉正勝、正則の肖像画や小田原城出土の鬼瓦そして確かに氏綱関連の社殿造営棟札、鞍などもあるが数が少ない。四階の企画展示室は北条五代の肖像画や小田原城図の展示から始まり期待を持たせる。しかし、その後は出土遺物のオンパレードである。小田原城内、城下のものが圧倒的であるが、中には扇谷上杉氏関連の丸山遺跡、下糟屋・上町並遺跡など、あるいは比較のため東京大学本郷構内遺跡(江戸加賀藩邸)のものもある。すなわち遺物から見る五百年ということなら見応えがあるが、氏綱その人とか歴代の城主などについては説明不足であった。古文書は写、パネルのみで原文書は一つも無かった。せっかくの企画なのだから遺跡別というより時代ごとの遺物紹介もあってよかったと思う。回廊形式の展示スペースという制約があるので仕方のない面もあるであろう。刊行物は図録が出ている。

<h3>2018年10月27日から12月24日まで開催</h3>

見学日
2018年11月10日
2018年11月19日