この館は二回目の見学記である。毎年の如く行く博物館である。今回はタイトルに『明治天皇と氷川神社』、サブタイトルに「行幸の軌跡」とあるように、武蔵一宮である氷川神社がテーマである。大きく三章に分かれる。第一章は東幸であり、浮世絵(錦絵)が並ぶ。実見したというより想像で描かれた方が多い。第二章は氷川神社行幸であり、明治元年(1868)、三年の二回あった。このことにより例祭を勅祭とすることや官幣大社への格付けが保障された。皇居の存在する武蔵国で最上級の神社となった。展示されている行在所の行在所札、下馬札は大きく威容がある。行幸途中で休憩した地に残る品や下賜品もあった。畳の玉座も展示されている。明治二十二年に制作された山田衛居筆の氷川神社行幸絵図は原本、下絵とも展示されており、展示室の広い県立ならではである。第三章は明治天皇ゆかりの品々であり、宸影、銅像、軍服などの他に下賜品があった。
特別展示室の前の季節展示室では『御親祭大祭の記録』というテーマで、50年祭(大正六年・・1917)、100年祭(昭和四十二年・・1967)、150年祭(2017)の資料を展示している。明治天皇関連の展示施設は明治神宮文化館、聖徳記念絵画館、旧多摩聖蹟記念館などがあるが、今回は氷川神社とは500Mしか離れていない場所での展示であった。時間があればお参りしてから大宮駅へ向かう手もある(あるいはその逆もあり)。これも明治150年のイベントの一つのようである。刊行物に図録、出品一覧がある。ちょうど常設展示室で『七名社の人々』(埼玉県最初の民権結社)、『陶磁器』も開かれていたので合わせて見学した。
なお、今回と直接関連はないようであるが、2017年9月から11月までさいたま市立博物館で『氷川神社』(大いなる宮居の歴史)が開催されていた。行幸のコーナーもあるが、神社および社家の歴史について詳しいので、こちらの図録も読まれることをお薦めする。
<h3>2018年1月2日から2月12日まで開催</h3>