行田市郷土博物館見学記8

この館へはほぼ毎年行っているので、見学記も8回目となる。今回は開館35周年記念ということで期待して見に行った。タイトルはずばり『天正十八年』、サブタイトルは「関東の戦国から近世」である。計65種の展示数である。天正十八年(1590)の小田原城合戦、特に忍城水攻めの前後を取り上げている。まず、忍城址の出土遺物から始まる。成田氏長の文書も3通出ている。次に小田原合戦のコーナーであり、鉢形城址、小田原城址の出土遺物の他、徳川家康、豊臣秀吉などの文書が並んでいる。兜も2頭出ている。木製の制札は珍しい。続いて水攻めのコーナーになる。特に豊臣秀吉朱印状が4通まとまっている。里見吉政戦功覚書は屛風仕立てである。天正年間成田氏忍城之図などもある。最後は徳川家康が関東に入ってきた時の忍城周辺の状況である。三鱗紋陣羽織、北条氏直朱印状、徳川家康画像などが出ているが、家康の寺領寄進の朱印状が5寺5通(原文書1、写4)まとまって展示されているのが良かった。全て慶長三年(1598)十一月三日付であり、代々の将軍家の朱印状の元になったものと思われる。出土遺物、古文書を主として兜、肖像画などバラエティーに富んだ構成となっていた。パネル等を含めてではあるが、他都府県からの出品も多く記念の企画展らしかった。刊行物は図録と展示資料一覧がある。

2022年10月8日から11月23日まで開催

2022年10月9日見学

2022年10月16日記