江戸東京たてもの園見学記

『川崎平右衛門展』を見てきた。展示室はたてもの園の中にある。特別展は年に数回開かれて主に園内に移築された建造物に関するものが多いが、たまに地元をテーマとした展示を行われている。川崎平右衛門はそれほど著名ではないが、サブタイトルに「武蔵野新田開発の立役者」とあるように地域史の上では欠くことのできない人物である。まず第八代将軍徳川吉宗や平右衛門を抜擢した大岡忠相が中心となった享保の改革の説明から始まる。忠相は多くの事績をあげたが、武蔵野新田の開発はそのうちの成功例である。それの責任者が平右衛門である。名主であったがその功績によって幕府の御家人となり、のちに旗本に取り立てられ代官として活躍した。身分制度の厳しい時代においては稀有の人材といえる。メイン展示は武蔵野新田の開発のことである。遠く美濃、石見までその足跡を残しており、それらの事柄にも触れている。展示物は展示替えを含めて計81点、古文書、史料が多い。但し、古文書の釈文がないのは残念である。他に肖像画、絵図などである。刊行物はリーフレットと展示品リストがある。図録代わりのリーフレットは無料であるが、希望者のみの配布である。

たてもの園は広大な都立小金井公園の一画にある。展示室はたてもの園のビジターセンターに隣接しており、常設展示はない。すなわちたてもの園自体が展示室である。現在30の建造物が東京都内各所から移されており、他にも園内のあちこちにある石造物など見所は多い。民家園を含むたてもの園の中では東京都内で最大である。江戸東京博物館の分館としての位置付けになっている。園内には食堂、カフェ、ミュージアムショップもある。初めての人なら半日は過ごすことが出来る。JR中央線武蔵小金井駅からバス便がある。天気の良い日なら歩いても25分で着く。なお、小金井公園南側に隣接した真蔵院に川崎平右衛門の供養塔がある(小金井市有形文化財)。

<h3>2017年2月7日から5月7日まで開催</h3>

見学日
2017年4月14日
2017年4月21日