永青文庫見学記

今回の見学記は『熊本城展』である。なぜ東京で熊本城かというと、周知のことながら2016年4月の熊本地震から1年たった熊本県、熊本城の復興の一助とするためである。サブタイトルは「加藤清正と細川家」、会場は細川家ゆかりの永青文庫である。展示替えを含めて54件。肖像画、兜、城絵図、史料などバラエティーにとんでいる。この手の展示にありがちな古文書ばかりとは雰囲気が違っている。建物の構造上、多くは展示出来ないし、ゆったりとした空間が売りでもある。2階から4階が展示室である。4階は城絵図、絵画など大きなものが主である。3階は古文書、陶磁器などである。2階は細川家の家紋である九曜紋に焦点を当て、工芸品を並べている。刊行物は『永青文庫97』と出品リストである。前者は季刊誌であり連載物も載っているが、今回の展示のことにも多くのページをさき図録代わりといえる。

永青文庫は細川家下屋敷址に昭和初期に建てられた細川侯爵家の事務所であった建物を使って1950年に開設された。建物を含めて展示物といえる。もともと3階までであったが、4階を増築して展示室を増やした。但し、常設展示スペースはない。なお、昭和11年(1936)建設の本邸も現存しているが、和敬塾本館として学生寮になっているので一般公開はしていない。文庫に隣接して肥後細川庭園がある。もとの新江戸川公園である。幕末からの細川家下屋敷、抱屋敷であり、都内でも貴重な大名庭園である。今年3月に再整備され、歩きやすくなった。また、近くには野間記念館などもある。交通はJR山手線目白駅からバス便がある。私は大体は東京メトロ東西線早稲田駅か有楽町線江戸川橋駅から徒歩で行く。ともに15分で着く。

関連でもう一つ見学記を書く。日本橋高島屋で開かれた『熊本城と加藤清正・細川家ゆかりの品々展』である(4月12日~24日)。本妙寺、永青文庫の所蔵品が主であり、甲冑、古文書、屏風などが並んでいた。ものはよいが数的には少ない感じがした。「熊本復興祈念展」と銘打っており、入場料収入は熊本城復興の寄付になるということである。

<h3>2017年3月18日から6月4日まで開催</h3>

見学日
2017年4月27日
2017年5月2日