かなりマイナーなテーマだったのであやうく見逃すところだった。タイトルは『幕末の動乱を行きぬいた武士たち』、サブタイトルは「旗本京極家の家臣永坂家文書の紹介」である。武士はもののふとルビがついている。武士といっても大名旗本ではなく、旗本の家臣の永坂氏が主役である。性格からいえば所蔵品展、テーマ展のような内容である。60種67点で構成されている。永坂家文書が中心で、他から借りてきたものはパネルが多い。田辺藩主京極氏から分かれた糸井京極氏は2200石の上級旗本である。幕末の当主京極高朗は文久元年(1862)からの遣欧使節団に監察使として加わった。用人の永坂氏は同行しなかったが、留守役となった関係もあり使節団関連の史料も多い。京極能登守名刺(サンプル)など珍しいものもある。明治に入って京極高朗夫人が永坂家に身を寄せた関係で、京極家の文書が永坂家に保管された。京極高朗夫人や永坂寿々の女性の肖像写真もある。京極氏は旗本として将軍の身辺警備に当たっていたので、大坂城、寛永寺、増上寺などの絵図もある。図録はないが、8ページのリーフレットが無料で配られている。ほかに展示史料リストがある。寄託された169点の永坂家文書をまとめた史料集は無いようなので、ぜひ活字化して欲しい。
2019年2月9日から3月17日まで開催
2019年3月5日見学
2019年3月11日記