この館は二回目の見学記である。タイトルは『松江城と江戸城』である。城郭関連の展示なので必見であり見学記も書きたいところだが、若干躊躇した。その訳は目玉である江戸始図をどう評価するかである。原図が書かれたのちにそれほど経っていない時期に写された良い図であることは間違いない。しかし、描いてあることを全面的に信用する考えもあるが、軍学者が少し手を加えている所をどう解釈するのかという問題もあるからである。このことはもう少し時間をかけて考えてみたい。
前置きが長くなってしまったが、展示は松江市、島根県と千代田区との共同主催である。江戸始図を持っているのが松江市であり、その松江市にある松江城が2015年7月8日に国宝になったことを記念して松江城と江戸城を取り上げることになったようである。松江城の天守雛形や天守古材など展示されており、松江市の力の入れ方が分かる。江戸始図を含む「極秘諸国絵図」からは他に浜松城、松本城、真田丸が並べられており、もう一つの江戸城図である今江戸図もある。ほとんど同一サイズであり、案外小さい。比較するように慶長江戸図などの江戸城図も数枚ある。他には江戸城址、大名屋敷址から出土した陶磁器、金箔瓦などの遺物や大奥関連の史料など多彩であり、計47種である。これで無料なのは有り難い。刊行物は図録、文化財ニュース13号、出品目録があり、図録には展示以外の事項も載っている。82ページで400円はお買い得である。
<h3>2017年9月19日から11月19日まで開催</h3>