山梨県から大急ぎで多摩に戻り、八王子郷土資料館を経由して日野市の『今、よみがえる真慈悲寺展』である。廃寺である中世寺院の真慈悲寺がテーマである。この寺は十一世紀から十三世紀にかけて栄え、京王百草園のある台地上にあった。日野市教育委員会、市民協同のプロジェクトにより、発掘調査や文献調査が行われている。今回はその成果の展示である。展示は一階と二階の二ヶ所に分かれている。一階の会場では背銘に真慈悲寺と刻まれた阿弥陀如来坐像の他、瓦や陶磁器などの寺関連の出土遺物を並べている。二階の会場では廃絶後に建てられた江戸時代の松蓮寺やこの地を領した旗本小林氏などを紹介している。図録わなく、無料のリーフレットが配られている。なお、サブタイトルに「幻の大寺院を追い求めて」とあるが、もともと中世寺院は謎だらけなのでわざわざ幻をつけるのはどうかなと思う。
ここは新選組ふるさと歴史館というように本来は新選組に特化した館であり、常設展示もされている。今回の主催はここから遠く離れた日野市郷土資料館である。廃校の一部を利用した昔ながらの資料館である。展示配置や防犯の面などでより使いやすい歴史館にしたと思うが、本来は資料館で行うべき展示であろう。歴史館のほうはバス便もあるが、JR中央線日野駅から徒歩で15分である。天気のよい日は日野宿本陣をひじめ新選組関連の史跡を歩きながら行くこともできる。