水戸市立博物館見学記2

 友人と茨城県内を回った。タイトルは『江戸氏』、サブタイトルは「知られざる水戸の戦国時代」である。常陸の大名といえば水戸徳川氏、佐竹氏があげられる。江戸氏を大名といってよいのか分からない。佐竹氏の影響下に存続したが、独自の支配領域を持っており、大名と国衆の間ぐらいの位置付けであろうか。知名度の低い江戸氏を取り上げたのが今回の展示である。計94件で四階がメイン会場、三階の展示室も一部使用している。江戸氏が水戸城を本拠にしたのは十五世紀前半である。水戸城の項では出土した埋納銭、五輪塔などが出ている。続いて関連する城館の河和田城、見川城、長者山城、小幡城、取手山城などを紹介し、出土遺物、城絵図、戦旗などが並んでいる。江戸氏の地域支配の項は古文書が多い。次の寺社との関係や信仰では棟札、扁額、絵巻などが出ている。最後は江戸氏の滅亡である。天正十八年(1590)小田原合戦の後、豊臣政権下の大名となった佐竹氏によって水戸城を追われて、日立における江戸氏支配は終わった。江戸氏の初給文書を10通近く集めるなど、大掛かりな江戸氏の展示は初めてであろう。水戸市民にもあまり知られていない江戸氏への関心が高まること、そして江戸氏研究の進展を期待したい。刊行物は図録が出ている。

2024年2月3日から3月10日まで開催

2024年2月10日見学

2024年2月21日記