安城市から西尾市経由で久しぶりに豊田市に来た。タイトルは『渡邉半蔵家』、サブタイトルは「徳川を支えた忠義の槍」である。尾張徳川家の万石陪臣である渡邉家の展示である。渡邉家は市内の寺部を主な領地にしていることによる。二つの会場から成る。メインは常設展示室を展示替えして全面的に使っている。まず寺部の中世以の歴史の簡単な紹介がある。次に展示の中心人物である初代の渡邉半蔵守綱に移る。いわゆる徳川十六将の一人であり、長篠合戦、長久手合戦など多くの戦いで活躍した。家康から拝領した南蛮胴具足や槍半蔵といわれた守綱の画像、大身槍、鞍などが出ている。次は江戸期の渡邉家のコーナーである。領国支配や将軍家、尾張家関連の古文書、文献などが多いが、五代から七代までの3名の画像や寺部陣屋、名古屋の屋敷なども取り上げている。渡邉家は尾張家の家臣とはいえ大名並みの一万石を領していたので、その家臣も約140名いた。分限帳や重臣の具足3領も出ている。次に企画展示室に移る。幕末における渡邉家の動向を古文書、文献などで見たのち、文化面に焦点を当てている。十代当主の実弟が裏千家の養子となった関係で、渡邉家、尾張家も茶道が盛んとなった。茶道具や書などが多く展示されている。刊行物は図録が出ている。図録に初代から十二代までの肖像画が載っているが、これだけ揃っているのは珍しい。
資料館は名古屋鉄道三河線梅坪駅から徒歩10分、豊田市駅から徒歩15分でる。2024年に北方向1、5KMにある七州城址に新博物館が建設される予定である。なお、渡邉家の領地である寺部は資料館から東方向1KMに位置する。菩提寺の守綱寺、遊佐家長屋門、旧松本家長屋門など城下町の雰囲気が残っており、機会があれば訪れてほしい。
2021年1月30日から4月11日まで開催
2021年2月28日見学
2021年3月10日記