自粛ムードの中で茨城県は休館が少ないのはありがたい。この館は何回か行っているが、見学記は初めてである。タイトルはずばり『土浦城』、サブタイトルは「時代を越えた継承の軌跡」である。二つの部屋を使い、主会場として二階の常設展示室を全て使っている。計167種で、大名の居城であった江戸期を中心に前史そして廃城後にも目配りしている。中世の土浦城址をめぐる前史では小田政治肖像、佐竹義重書状、小田城址の出土品などが出ている。江戸期に入ると城絵図が充実している。特に常州土浦城図は正保城絵図の控えか下図である。出土遺物は本丸御殿址、外丸御殿址からのものが多く並んでいるまた、歴史を知るうえでの重要史料である土浦城記の写本各種も9冊出ている。廃城後のコーナーでは土浦県庁、亀城公園の設置、県史跡指定などを取り上げている。初めて見る資料がたくさんあり、この部分に多くのスペースをさいているのは良かった。また、一階の展示室のうちの一部屋も使用し、歴代将軍の御朱印状写や土屋家ゆかりの刀剣などを展示している。この館ではいままでも土浦城関連の展示が数回開かれたが、今回は市制施行80周年記念ということで集大成ともいうべき内容であった。但し、古文書は釈文が欲しかった。刊行物は図録がある。論考が多く載っており参考になる。館内で『街中にたたずむ土浦城の名残写真展』も開かれていた。その後は上高津貝塚ふるさと歴史の広場の『地下にのこる土浦城』(出土遺物が主)、がばんクリエイティブルームの『土浦城とつながる城郭図』も見学した。
博物館の常設展示は特別展、企画展の時には規模を縮小している。隣接して亀城公園がある。土浦城址の中心部分であり、県指定文化財の櫓門や復元の東櫓、西櫓などがある。JR常磐線土浦駅からバスもあるが、徒歩でも15分で着く。九万五千石の城下町であるが、古い建物が少ないのは寂しい。
2020年3月14日から5月6日まで開催
2020年3月14日見学
2020年3月23日記