今回のタイトルは『戦国最強の家老』、サブタイトルは「細川家を支えた重臣松生とその至宝」である。細川家の筆頭家老で松代城主松井氏の初代康之と二代興長が主人公である(三万石、但し、徳川家からすれば陪臣)。出品数は計45種、松井文庫と永青文庫蔵がほとんどである。四階は松井家と宮本武蔵との関連が主となる。武蔵は細川家に客分として招かれた。特に注目すべきは絵画であり、真筆の鵜図、野馬図、達磨・浮鴨図、正面達磨図が出ている。他に武蔵書状、一行書などがある。武蔵以外では松井康之像、興長像、寄之像などが見られる。三階は古文書が中心であり、今回のテーマに最も相応しい展示となる。織田信長黒印状、羽柴秀吉書状や細川家関連の忠興自筆血判起請文、忠利自筆裏書、綱利自筆書状など、松井家関連では興長血判起請文、自筆諫言状、遺書などが並んでいる。興長は細川家の4人の当主に仕えた。松井家が家老として異見するなど細川家の安泰を常に考えていたことがよく分かる文書群である。他に唐物茶壷、兜なども出ている。二階は茶の湯がテーマであり、千利休、古田織部らとの交流の証である品々が並んでいる。刊行物は図録代わりの『永青文庫116』と出品リストがある。直接の図録が欲しいといつも願っている。八代市立博物館の『ザ・家老』(2018)が参考になる。
2022年3月12日から5月8日まで開催
2022年4月5日見学
2022年4月13日記