この館へは何回か行っているが、見学記は初めてである。タイトルは『戦国足立の三国志』、サブタイトルは「宮城氏、舎人氏、武蔵千葉氏」である。古文書が語る足立の歴史という見出しがあるように、全76点のうち古文書、文献が多くを占める。宮城氏、舎人氏、武蔵千葉氏といってもメジャーな存在ではないので史資料は多くない。千葉氏は千葉常胤の流れの本家筋であるが、争いに敗れ武蔵へ逃れてきた。三氏とも在地領主として足立区内に城を構えていたがはっきりとその位置を確認出来るのは千葉氏のみである。その中曽根城址からは発掘で堀、井戸などが検出されている。戦国の争乱の中で、葛西城攻防戦や第二次国府台合戦に巻き込まれた。北条氏からの文書(本田家文書)が7点出ている。次にこの地域を考える上で重要な豊島・宮城文書が12点ある。今回は足立区関連に限っての展示である。最後の章では3氏の近世以降の動きである。宮城氏は江戸幕府の旗本や土着して名主となった。舎人氏は尾張藩士となっている。千葉氏は土着して有力農民となった者もいた。なお、区内出土の板碑4点と中曽根城址のことがそれぞれの特別コーナーで紹介されている。今回は前記のとおり古文書、文献が中心であり、発掘成果が少なく、中世集落についても触れられていない。古文書を含めてパネルが多かったのは物足りなかった。刊行物は図録と出品一覧がある。図録には足立区関連の古文書、文献の釈文が載っており参考になる。
博物館は東淵江庭園に隣接し、足立区内の通史についての常設展示室がある。交通はJR常磐線亀有駅からバス便がある。
2019年3月19日から5月6日まで開催
2019年3月29日見学
2019年4月6日記