神奈川県立歴史博物館見学記3

 多分、今年の見学記はこれで最後であろう。タイトルは『桜井家文書』、サブタイトルは「戦国武士がみた戦争と平和」である。コレクション展ということで迷ったが、評判が良いので見に行った。他館の企画展と同じぐらいの規模であり、内容も満足であった。計30点、全て桜井家文書であり、保存状態も良好である。大きく2部に分かれる。前編は戦国大名北条氏とともにであり、北条氏の家臣の時代で計11点である。北条氏朱印状が7点、他は当主自らの文書が氏康、氏政、氏直の4点、うち北条氏直朱印状は天正十八年七月十七日付小田原開城直後であり、氏直の私印が使われている。後編はいざ越前へであり、結城松平家に仕官した後の文書19点で構成されている。結城秀康知行宛行状2点、松平忠直の発給が14点を占める。一番最後に置かれている我等はしりめくり之覚は天正九年から元和八年までの戦功覚書であり、戦国を駆け抜けた武士の誇りを感じさせる。一つの家の文書群を一度に見られる良い機会であった。しかも無料というのがうれしい。関連して常設展示室内で『関東足利氏』が開かれている。新しく館蔵となった豊臣秀吉私印状他計4点を展示している。また、特別展示室で『縄文と弥生』も開催中であった。刊行物は図録と釈文集兼出品目録がある。図録は史料集としても使える。

2019年11月19日から12月22日まで開催

2019年12月11日見学

2019年12月22日記