岡崎市美術博物館見学記

 次にもう一つ岡崎市内である。タイトルはずばり『至宝』、サブタイトルは「燦めく岡崎の文化財」である。開館25周年記念である。市内の文化財を中心として関連する県内県外の文化財を一堂に集めた豪華なラインナップである。県博レベルの広い展示室を持つが、それでも一回に収まりきれず第Ⅰ部(出土品にみる岡崎のあけぼの、中世岡崎と足利氏)と第Ⅱ部(松平氏の時代)に分かれての開催である。総入れ替であり、要は別の展示といってもよい。両方とも見たかったが、そう何度も行ける訳もなく第Ⅱ部のみを見学した。節(テーマ)は新興勢力松平氏、松平氏と浄土宗、三河真宗のはじまりと展開、今川氏の三河進出、家康の領国支配である。特集(コーナー)も5つあるが、桜井寺と白山先達職、一向一揆から東西分派までは節立てにしてもよかった。大きく分ければ武家と武家の間に宗教が入る形となっている。見所が多いので全部を紹介出来ないが、今川氏、松平氏を中心とした古文書が多数あり武将、高僧の肖像画も目立った。特集の文化財としての城館跡は山中城模型以外はパネルだが、これだけで一つの展示としてまとまっている。展示の一番最後は特集の三河武士と刀剣であり、刀剣女子好みのコーナーになっている。一つの市でこれだけの展示が出来るのは大したものである。刊行物は図録、出品リスト、釈文がある。図録はB5版で383ページあり、第Ⅰ部、第Ⅱ部の合本である。資料解説の基本は1~2ページに一つというぐあいで見やすい。特集の城館跡のみは論文形式でありやや異質である。他に総論4本、座談会(新行先生と岡崎の文化財)も載っており参考になる。

 館は岡崎中央総合公園の一画にあり、愛称はMINDSCAPE MUSEUMである。館名通り美術品と博物資料の両方を収蔵している。ミュージアムショップ、レストランが併設されている。残念なのは交通の便である。市街中心地から約6キロある。自動車が使えない場合はバスしかない。名古屋鉄道名古屋本線東岡崎駅から出ているが、一時間に一本程度である。せめて三十分おきにあればよいのだが。見学時間が制約されてしまうのは不便である。

2021年11月20日から12月19日まで開催(第Ⅱ部)

2021年11月23日見学

2021年12月1日記