横浜市歴史博物館見学記7

 タイトルはずばり『北条幻庵』、サブタイトルは「横浜・小机城と関東の戦国」である。幻庵は戦国大名北条宗瑞の子であり、北条五代のほとんどを生き抜いた武将である。箱根権現社別当から還俗した。小机領を中心に約五千貫を領し久野村(小田原市)に住した。大きく幻庵、小机城、戦国の様相に分かれる。幻庵についてはその生涯、一族で兜鉢、北条幻庵朱印状などが出ている。小机城についてはその歴史と特に発掘成果がまとめられている。歴史は初代城主が幻庵の嫡男三郎であり、四代続いた。発掘は1964、65年の調査と2021、22年である。後者のほうは計6ヶ所のトレンチで終わっている。これからも継続的な調査が望まれる。城の縄張、性格についてはほとんど言及されていないのは物足りない。北条三郎坐像、北条氏光朱印状、出土遺物などがでている。北条氏を取り巻く情勢では上杉謙信の関東侵攻、武田・北条の再同盟、小田原合戦などで北条氏政書状、豊臣秀吉禁制や蒲原城址、小田原城址の出土遺物などが出ている。企画展示室の隣の体験学習室では小机城の発掘調査序章、小机小学校の考古遺物のミニ展示もある。刊行物は図録と出陳作品一覧がある。釈文集も欲しかった。図録には論考が5本載っている。北条氏全体の系図や年表があればもっと読みやすいと思った。ただ北条幻庵という人物についてはまだよく分かっていないというのが今の感想である。

2025年11月22日から2026年1月18日まで開催

2025年12月6日見学

2025年12月12日記