千葉市立郷土博物館見学記4

 タイトルは『我、関東の将軍にならん』、サブタイトルは「小弓公方足利義明と戦国期の千葉氏」であり、政令市移行30周年記念、千葉開府900年の一環ともなっている。足利義明は鎌倉公方の流れを汲む古河公方の一族である。里見氏、真里谷武田氏等に擁立され、永正十五年(1518)に千葉氏の重臣の原氏が本拠とした北生実城を奪い居城とした。そして小弓公方を名乗った。しかし、天文七年(1538)の第一次国府台合戦で北条氏綱に敗れ討死した。展示は義明の前後の足利氏の動きを縦糸に房総の勢力を横糸にして展開している。鎌倉公方のコーナーでは鎌倉大双紙、足利高基書状写などが出ている。足利義明は生年も分からず直接的な史資料は少ないが、千学集抄、北生実城址出土遺物などが展示されている。房総の国衆、在地領主についてはサブタイトルのの千葉氏の影は薄く、原氏、里見氏、真里谷武田氏など、そして後北条氏、古河公方に関する史資料が多く出ている。里美義堯像、真里谷城址出土遺物、原胤栄判物などが並んでいる。最後のコーナーでは現在まで続く義明の後裔の喜連川氏を取り上げている。足利頼淳書状、足利氏姫(氏女)寄進状などが出ている。小弓公方は義明一代の約20年間で終わっているのでなかなか実像が掴めないが、一時期でも千葉市は関東の政治の一つの中心地であった。このことを千葉市民に周知するための企画であると言えよう。ただ、タイトルの文言が今一つ展示と合わないように感じた。また、サブタイトルは戦国期の千葉氏というより戦国期の房総とした方が展示内容に合致していると思う。パネルが多いが、関東における鎌倉公方、古河公方、小弓公方の足跡を丹念に追っており参考になる。刊行物は図録と展示資料一覧がある。

2022年10月18日から12月11日まで開催

2022年11月22日見学

2022年12月2日記