土浦市立博物館見学記2

友人と茨城県内の博物館等を回ってきた。メインがこれで、タイトルは『八田知家』、サブタイトルは「鎌倉殿御家人に始まる武家の歴史」である。国衆(戦国大名というと疑問)小田氏の誕生から滅亡までと近世における顕彰を概観している。本来は小田城址があるつくば市で開くのが筋であろうが、土浦市域も小田氏の支配下ということでの開催である。十二世紀後半に下野から来て常陸守護となった八田知家の子孫は小田氏を名乗って小田を本拠とした。十四世紀前半までは史資料が少なく、吾妻鏡や太平記を中心に古文書では鎌倉将軍家政所下文、足利尊氏書状など、他には伝小田治久肖像等が出ている。十四世紀後半に勢力を拡大してから十六世紀後半に滅亡するまでがこの展示の中心となる。関東八屋形の一つに入るほどの勢威を誇った。後北条氏や佐竹氏などとの抗争の末に本拠の小田城を取られたりして勢力は衰えていった。小田氏発給の文書が多いが、武田信玄書状、佐竹義重書状等戦国大名の文書もある。他に埋蔵銭、軍配団扇、小田政治肖像、小田氏治肖像などが展示されている。

 領地支配者としての小田氏は終わったが、その子孫は結城松平氏などの家臣となったりした。十七世紀以降も旧領に住む旧臣の子孫との繋がりは密であった。官途状之事、小田家紋許与書、小田政治肖像写などからそのことが分かる。近世まで目配りした点は良い試みといえる。刊行物は図録、図録参照マップ、展示資料翻刻がある。図録には論考が5本載っており参考になる。なお、関連展示が上高津貝塚考古資料館(『中世から近世へ』)他でも開かれている。

2022年3月19日から5月8日まで開催

2022年4月10日見学

2022年4月18日記