この館も何回か行っているが、見学記は初めてである。収蔵品展であるが、タイトルは『江戸屋敷に暮らした家臣』であり、「武士の家系図2」としての位置付けである。近江江南の在地領主であった山岡氏の一族で、江戸期に大名阿部家の家臣になった山岡治左衛門家に伝わった資料が中心となる。最初に系図や家の由緒書きが並ぶ。阿部家家中で殉死の家が4家あり、家督相続時に優遇された。山岡家は家老にまでなったり、阿部家から養子を貰っているほどの家柄であった。阿部正弘の書も展示されている。幕末期に福山藩がイギリス公使館を警備したことや嘉永七年(1854)主君正弘に諫言して切腹した山岡八十郎のことにも触れている。明治に入ってからは藩の大参事や阿部伯爵家の家令にもなっている。関連して松平春嶽、勝海舟、福澤諭吉の書状もある。十万石の藩の上級家臣に関するまとまった資料として貴重である。刊行物は展示資料目録を兼ねたパンフレットのみである。館内では時節柄『文の京の五輪外伝』も開かれていた。
歴史館は常設展示室で区内の通史を見せているが、近世近代が充実している。地下鉄の春日駅、後楽園駅、本郷三丁目駅それぞれから徒歩5分~10分の範囲にある。近くには石川啄木、樋口一葉、宮沢賢治など文学者の関係地が数多くある。
2020年2月8日から3月15日まで開催
2020年2月14日見学
2020年2月18日記