2017年11月に特別展を見学したが、図録が未刊であった。ようやく2月に送られてきた。すでに記憶があいまいであるが、少し書いておく。タイトルは『鎌倉公方足利基氏』、サブタイトルは「新たなる東国の王とゆかりの寺社」であり、「足利基氏没後650年記念」と銘打った展示である。基氏(1340~67)は鎌倉公方の初代であるが、名前のみで詳しい事績は知らなかった。室町幕府初代将軍足利尊氏の息子で、二代義詮の弟である。28歳で亡くなったので夭折といえるが、尊氏が敵方であった北条氏の拠点であった鎌倉をそのまま存続させた鍵をにぎる人物である。展示替えを含めて75種77点を数える。ほとんどが古文書であり、鎌倉市内の寺のものが多い。他には上杉家文書(米沢市上杉博物館)、喜連川文書(さくら市ミュージアム)などゆかりの地からの出品がある。ただ、釈文が無かったのが残念であった。文書以外では基氏、上杉重房、夢窓疎石などの座像や肖像画そして絵図類がある。鎌倉公方は5代続きのちに古河へ移るが、2代から5代までの続編も見てみたい。刊行物は図録の他に出品目録がある。図録の発行はだいぶ遅れたが、出ないよりはましである。
国宝館は通常大きな一部屋の半分を仏像の常設展示に充てており、残りの半分を企画ものに使用している。鶴岡八幡宮の境内にある。JR横須賀線鎌倉駅からバス便があるが、出来れば鎌倉らしく徒歩で行きたい。所要12分である。
<h3>2017年10月21日から12月3日まで開催</h3>