この館というか文庫は二年に一回は訪れているが、見学記としては初めてである。タイトルは『城絵図と町絵図』である。計79点である。屋敷を含む城絵図に関してはまず佐竹氏の居城の久保田城と江戸屋敷がある。何回か見慣れたものも多い。また、江戸城関連も6点ある。目新しいのでは南部城下絵図、仙台城下絵図、若松城下絵図などがあった。多くは正本というより下絵や写しであろう。これらが一階全部と二階の一部に展示されている。二階は切絵図の尾張屋板江戸街分絵図が23点と歌川広重名所江戸百景が16点並ぶ。前者はタイトルの町絵図に相当し、後者は企画展ごとに場面を変えている。ほかには狩野派が修業のために描いた俵屋宗達筆狗図の模写などがある。この手の模写は大量にあるらしい。刊行物は展示品目録のみである。
千秋文庫は久保田城址のある千秋公園に由来する。佐竹侯爵家の家令であった小林昌治氏が苦労して保存管理し、昭和五十六年に開館した。外観内部とも堅牢な建物である。大きくはないが、いずれ文化財になるような建造物である。扉や窓などの細部にも注目である。敷地内には庭園も造られている。常設展示はなく、年3回の企画展が開かれている。東京メトロ九段下駅から徒歩10分である。北の丸公園(江戸城址)、千鳥ヶ淵戦没者墓苑、靖国神社などほど近く、散策に手頃である。
<h3>2017年12月19日から2018年4月7日まで開催</h3>
- 見学日
- 2018年3月2日
- 記
- 2018年3月5日