山梨県に行くのは久しぶりである。博物館には何回か訪れているが、見学記は二回目である。タイトルは『甲斐徳川家』で、サブタイトルは「六代将軍を生んだ知られざる名門」である。主な甲府城主には柳沢吉保、吉里のほかに加藤光泰、浅野長政がいるが、寛文元年(1661)から宝永元年(1704)の間は徳川綱重、綱豊が城主であったことはあまり知られていない。綱重は三代将軍家光の子であり、四代将軍家綱の弟である。その子の綱豊は五代将軍綱吉の後継者として家宣と名乗り六代将軍となった。御三家よりも血筋が近く上位にあった。この二人の甲斐における事績を中心とした展示である。
最初のコーナーに寛文・貞享・延宝・元禄・宝永検地帳がなんと3546冊も置かれている。これだけ残存している例は全国的にも稀で貴重であり、圧倒される。続いて綱重、綱豊そして家臣の新井白石、関孝和などの史資料が展示されている。文書、史料の他肖像画、書画である。大名家の展示によく見られる装束、武具類はなく、城絵図も一舗のみである。十八世紀のごく初めに藩が解体されたこと、多くの家臣が幕臣になったこと、2代とも終始江戸住まいだったことなどから山梨県内には関連するものが少ないようである。展示替えを含めて99種であるが、展示室の広さに比べて余裕がありゆっくり見ることが出来た。ただ、資料劣化を防ぐために照明を落としているのは当然だが、ガラスケースに何度かぶつかりそうになった。なにがしかの対策を考えていただけるとありがたい。刊行物には図録と出品目録があり、関連図書に『甲斐徳川家ものがたりガイドブック』が出ている。なお、ワークシートを完成するとオリジナルのしおりを貰える。
<h3>2017年10月7日から12月4日まで開催</h3>