金沢文庫見学記2

 この文庫の展示といえば称名寺蔵の国宝称名寺聖教や国宝金沢文庫文書関連が多いが、今回の『伊藤博文と金沢』のように近代をテーマとした展示もたまにある。計119種であり、大部分が寄贈寄託を含む文庫蔵であるが前記の称名寺の国宝は出ていない。絵葉書、古写真が目立つのが特徴である。主要人物は伊藤博文であり、主な事項は大日本帝国憲法(明治憲法、夏島憲法)、金沢文庫再興、金沢別邸の三つである。明治二十二年(1889)公布の憲法は夏島や旅亭東屋で検討された。その過程や大正九年(1918)憲法発布30年記念前後の顕彰のことにふれている。現在は憲法の顕彰碑が三ヶ所に残されている。荒廃激しかった金沢文庫は明治三十年に博文の後援で称名寺境内に再建された。現在の文庫の原型である。金沢別邸は明治三十年に建てられた(本邸は大磯町にあった)。以上のことに関する史資料の他に明治四十二年の国葬の様子、金沢ゆかりの大鳥圭介、若槻礼次郎、金子堅太郎等の書軸、そして旅亭東屋のことなどが紹介されている。国葬は金沢とは直接関連ないが、個人的には興味深かった。また、顕彰のために朝鮮に建てられた春畝山博文寺のことは初めて知った。刊行物は図録、展示資料一覧、資料翻刻がある。

2019年1月19日から3月10日まで開催

2019年2月10日見学

2019年2月20日記