豊川市桜ケ丘ミュージアム見学記

『大岡越前守忠相と豊川』というタイトルから察して豊川稲荷(豊川閣妙厳寺)がキーワードになると思っていたが、忠相の三河における領地の半分以上が豊川市域を占めていたのがこの展示を企画したきっかけであろう。53種101点で構成されている。文献は岩瀬文庫、国文学研究資料館などから借りている。遺品として毛抜き、将棋盤、壺碗、書などが出ている。旗本であった忠相が寛延元年(1748)72歳の時に晴れて一万石の大名となった。この時の加増分は三河からであった。代々越前守を名乗り、七代忠多敬の時に明治維新を迎えた。大岡家の領地は大きく三河、相模、上総にあり、中でも三河が最大であった。陣屋は岡崎市西大平に構えていたが、豊川市、みよし市などにも所領があった。東京都港区元赤坂にある豊川稲荷東京別院は大岡家の下屋敷に作られ、庶民の信仰を集めて当時から現在まで賑わっている。また、本山である豊川市の豊川稲荷も武家、庶民の信仰が厚かった。ただ大岡家の当主が初めて参詣したのは文久元年(1861)の最後の藩主七代忠敬の時であった。後半では忠相以降の大岡家当主の書画および忠相の江戸町奉行、寺社奉行の業績、大岡政談にまつわる事柄の展示があった。刊行物は図録と出品資料目録がある。

ミュージアムは豊川地域文化広場(桜ケ丘公園)内にあり、特別展示室の他に常設展示室として歴史と美術の二部屋がある。歴史の方は市の通史である。JR飯田線豊川駅からバス便もあるが、徒歩でも15分で着く。豊川稲荷が途中にあるのでぜひ寄ってみたい。

<h3>2018年12月8日から2019年1月27日まで開催</h3>

見学日
2019年1月14日
2019年1月23日