横浜開港資料館見学記4

この館にしては珍しく明治中期後期を扱った展示で、タイトルは『明治の戦争と横浜』、サブタイトルは「伝わる情報、支える地域」である。新政府の軍隊を紹介した後に最初の戦争は明治十年(1877)の西南戦争である。イラストレイテッド・ロンドン・ニュースなどから海外でも関心が大きかったことが分かる。その後軍備の拡充を経て明治二十七年(1894)の日清戦争となる。ここでもイラストレイテッド・ロンドン・ニュースなど海外メディアが活躍し、国内では浮世絵や風刺画などに戦勝国側の雰囲気が分かる。最後の戦争は明治三十七年(1904)からの日露戦争である。国内外とも引き続きメディアの関心は高かった。昭和期の戦争と比べて明治期はまだマスコミ、メディアの自由度はあった。一応勝利したので雑誌、絵葉書が多く作られ、戦勝記念の狛犬(パネル)や凱旋紀念の木盃なども並べられている。これからは軍隊生活、軍事演習の史資料の展示である。神奈川県域の兵士の所属先は幾度か変わり、明治四十年からは多くが甲府の連隊へ入隊したのは初めて知った。国民の日常生活にはまだ余裕が感じられる時代であった。横浜市内には戦争遺跡はあまりないようであるが、忠魂碑などは多くある。個人的にはこれらももう少し知りたいと思った。刊行物には図録と展示資料目録がある。

<h3>2018年11月3日から2019年1月27日まで開催</h3>

見学日
2019年1月13日
2019年1月20日