犬山市文化史料館見学記

愛知県内のいくつかの博物館等を閉幕間際に見てきた。最初は『犬山城』であり、サブタイトルは「城をめぐる人と歴史」とある。犬山城展と銘打っているのは今年2月13日に国史跡に指定された記念ということである。天守は以前から国宝であったが、城域は史跡になっていなかったのは以外であった。展示だが、絵図類が充実している。城絵図を主に修理の図、櫓や門の図もある。瓦、鬼瓦や西御殿跡出土品、そして古写真も多く、犬山城そのものを理解する手段となっている。なお、建物の簡単な修理は自由だったが、崩れた石垣の修復や建物の再建などは幕府に届けを出さなければならなかった。これは成瀬氏が城持ちであったことによる。遺構に重点を置いている分、歴史にかんしてはさらっと流している。文書は3点のみである。目新しかったのは近代以降についてである。明治に入ってからの城絵図や古写真、また明治二十四年(1891)の濃尾地震などの被害からの復興修理に関する史料もある。まさに町ぐるみの寄付であったことが分かる。終りのほうに昭和二十七年の国宝指定書があったのは面白かった。展示の締めは宝暦二年(1752)、昭和三十九年(19649、平成三十年の天守鯱瓦の揃い踏みであった。小さな二部屋の展示であるが、コンパクトにまとまっており、なかなか良かった。刊行物は『図説犬山城改訂版』と出品目録がある。前者は図録ではないが、その代わりということである。最新の研究成果が載っており、現在の時点での決定版である。

史料館は犬山城白帝文庫歴史文化館と合わせて城とまちミュージアムを形成している。展示室は公益財団法人犬山城白帝文庫のものであり、史料館としての展示室はないので犬山市の通史の常設展示は行われていない。史料館の別館にからくり展示館がある。名古屋鉄道犬山線犬山駅から徒歩15分である。犬山城のすぐ麓であり(城内にある)、城下町を歩きながら行くのもよいであろう。

<h3>2018年10月4日から11月5日まで開催</h3>

見学日
2018年11月3日
2018年11月14日