府中市郷土の森博物館見学記2

この館は毎年のごとく行っているが、見学記としては二回目である。タイトルが『徳川御殿@府中』ということで、以前御殿遺跡をまとめた者としては必見であった。ただ、二つある企画展示室のうち大きな一階の方を使用している。府中御殿だけだと二階の展示室でも余ると思い、どのような展示になるかと興味しんしんであった。大きく二つに分かれる。前半は天正十八年(1590)の小田原合戦についてである。小田原城址と八王子城址の出土遺物が多数並ぶ。他には最後通牒としての豊臣秀吉状書、前田利家禁制などの古文書や伝北条氏邦所用兜(秩父市椋神社)、長泉寺出土具足(檜原村御霊檜原神社)などである。豊臣秀吉禁制の一つは木札であり、板に書かれた禁制はかなり珍しい。結構長い前振りであった。

続く後半はいよいよ府中御殿であるが、肝心の府中の発掘成果は一ケースのみである。遺物が少ないせいもあるが、遺構配置など詳しく解説してほしかった(武蔵国府址などとの複合遺跡である)。次に主に関東に置かれた御殿のコーナーになる。特に青戸御殿(葛飾区)、御茶屋御殿(千葉市)の出土遺物があった。府中御殿は約60年しか使用されなかった。最後のコーナーではその後の跡地利用や観光地化が述べられており、現在の整備計画まで続く。御殿跡絵図、武蔵府中国府台勝概一覧図などの絵図類が参考になった。なお、府中御殿は秀吉が家康に命じて作らせたという説も紹介している。このことについては信長の茶屋(彦根市山崎山城址)などと合わせて考えていく必要があろう。刊行物は図録と資料一覧がある。図録はブックレットとして解説書を兼ねている。府中御殿の発掘についても少しページをとっている。

<h3>2018年1月27日から3月11日まで開催</h3>

見学日
2018年2月20日
2018年2月28日